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スラッシュメタルを厳選!中・上級者向けアナログレコード必聴名盤20選

はじめに: デジタル全盛の今だからこそ、ヘヴィメタルをアナログレコードで聴く醍醐味が見直されています。古典的なハードロック/メタルの名盤は、当時のアナログ録音ならではの迫力や温かみを持ち、経験豊かな中・上級のロックファンには格別な体験を与えてくれます。特に80年代のスラッシュメタルは、レコードの針を落とす瞬間から魂を揺さぶるエネルギーに満ちています。ここでは70年代から2000年代以降に及ぶロック/メタルの必聴名盤20作品を厳選し、アナログ盤で聴くべき理由とともに紹介します。「ロック 名盤 アナログレコード 必聴」をキーワードに、熱い想いを込めて各アルバムの魅力を語ります。さあ、ボリュームを上げてレコードに針を落とし、その音の深みと迫力に浸りましょう!

目次

1. ブラック・サバス『パラノイド』 (1970年)

ヘヴィメタルの原点にして頂点とも称されるブラック・サバスの2作目『パラノイド』は、1970年という時代に登場しながら驚異的な重厚サウンドを確立しました。オールミュージックでは「史上最も偉大で影響力のあるヘヴィメタル・アルバムの一つ」と評価されており、収録曲の多くが今やメタル史上不朽のクラシックとなっています。アナログ盤で聴くと、リフの一音一音にまで当時の空気感が宿り、曲全体に漂う暗黒の雰囲気がよりリアルに感じられます。特に表題曲「Paranoid」や戦争を風刺した大作「War Pigs」は、ヴィンテージな機材で録音された分厚いギターとビル・ワードの図太いドラム音がレコード再生で一層引き立ちます。良質なアナログ盤では「ズシリと巨大な低音と優れたプレゼンス、真空管アンプならではの中音域の豊かさ、そして凄まじいエネルギー」が感じられると評されており 、デジタルでは味わえない“重み”が体験できます。針を落とせば、まるで1970年当時のスタジオにタイムスリップしたかのような生々しさ――これこそ名盤『パラノイド』をアナログで聴く醍醐味です。代表曲「War Pigs」の不吉なサイレン音から轟くリフに身震いしつつ、レコードならではの太い音圧に酔いしれてください。
代表曲: 「War Pigs」(公式オーディオ)

2. ディープ・パープル『マシン・ヘッド』 (1972年)

1970年代前半のハードロックを代表するディープ・パープルの金字塔『マシン・ヘッド』。リッチー・ブラックモアのギターリフとジョン・ロードのハモンドオルガンが火花を散らすサウンドは、当時のアナログ機材で録音されたことで独特の太さと迫力を持っています。名曲「Smoke On The Water」のあの印象的なリフはアナログ盤で聴くと一段と重量感が増し、グルーヴ感がダイレクトに伝わってきます。本作は発売から50年以上経った今でも色褪せず、ロック史に残る象徴的アルバムとして語り継がれています。事実、『マシン・ヘッド』は「ロック史上最も象徴的なアルバムの一つであり、過去50年で無数のミュージシャンに影響を与えた」と評されており、当時のパープルが絶頂期の勢いで作り上げた名盤です。モントルーのレコーディング秘話(「Smoke On The Water」の歌詞にもなった火事の逸話)も有名ですが、そうした生々しい歴史の音を感じ取れるのもアナログの利点でしょう。レコードで聴けば、イントロの重厚なギターの響きからしてデジタルとは異なる熱気があります。グレンとパエイスのリズム隊の躍動も、アナログのレンジで聴くと身体に迫ってきます。70年代当時の空気を封じ込めたこの一枚、レコードで再生することでスタジオの床を震わせた生々しい音圧を追体験してみてください。
代表曲: 「Smoke On The Water」(公式MV)

3. レインボー『ライジング』 (1976年)

リッチー・ブラックモア率いるレインボーが放った2作目『ライジング』は、1970年代メタルの名作として中・上級者には必携の一枚です。ロニー・ジェイムズ・ディオの力強い歌唱とブラックモアのクラシカルなギターワークが融合した音世界は、アナログ盤でこそ真価を発揮します。特に約8分に及ぶ大曲「Stargazer」は、コージー・パウエルの雷鳴のようなドラミングとオーケストラの壮大さが特徴ですが、レコード再生ではそのスケール感が部屋いっぱいに広がり鳥肌ものです。本作はディオのキャリア最高傑作の一つとも言われ、ファンから「間違いなく史上最高のロックアルバムの一つだ」との声もあります。アナログならではの太い低音が加わり、ディオのボーカルに一層深みが感じられるでしょう。1976年当時の録音は若干荒々しさも残していますが、それが逆にライブ感を生み、まるでスタジオに居合わせて演奏を聴いているかのような感覚に浸れます。実際にあるレビューでは「このLPの音は素晴らしく、特にヴァイナルで聴くことでバンドとディオの卓越した才能が真に引き立つ」と述べられています。伝説的名曲「Stargazer」をレコードで再生すれば、中盤のギターソロからクライマックスへの盛り上がりに圧倒され、針が進むごとに70年代メタルの魔法に引き込まれることでしょう。
代表曲: 「Stargazer」(公式音源)

4. AC/DC『バック・イン・ブラック』 (1980年)

ハードロック史上に燦然と輝くモンスターアルバム、AC/DCの『バック・イン・ブラック』。全世界で5000万枚近くを売り上げたとされるこの作品は、史上最も売れたロックアルバムの一つに数えられます。プロデューサーのロバート・ジョン “マット” ランジによるキレのある音作りと、バンドの持つブギーなノリが見事に融合したサウンドはアナログ盤との相性が抜群です。タイトル曲「Back In Black」の冒頭、雷鳴のようなギターリフがレコードで流れ出した瞬間、部屋の空気が一変するのを感じるでしょう。CDや配信では味わえない、アナログ盤特有の分厚いリズムセクションが体を直撃します。事実、本作は「史上最も売れたハードロック・アルバム」であり、その音質は発売当初から業界内でもリファレンスにされてきました。アナログで聴くと、高域から低域までバランス良くまとまりつつ、マルコム・ヤングのリズムギターが部屋の床を振動させるような重量感を放ちます。また、本作は1980年当時すでに高音質録音として知られ、ナッシュビルのスタジオでは音響テストに使われたという逸話もあるほどです。そんな名盤をレコードでかければ、ブライアン・ジョンソンのシャウトがよりザラつき感を増して耳に飛び込み、アンガス・ヤングのギターソロも生々しい臨場感で迫ってきます。アナログ針が刻む「Hells Bells」の一打一打、ぜひその迫力を体感してください。
代表曲: 「Back In Black」(公式MV)

5. モーターヘッド『エース・オブ・スペーズ』 (1980年)

「音を上げろ、これはロックンロールだ!」――レミー率いるモーターヘッドが1980年に放った『エース・オブ・スペーズ』は、スピードと荒々しさで後のスラッシュメタルにも多大な影響を与えた究極の一枚です。表題曲「Ace Of Spades」は言わずと知れたロックアンセムで、複数世代のロッカーたちのライフスタイルの象徴とまで称される名曲 。アナログ盤で聴けば、レミーの歪んだベース音と“フィルシー”テイラーの爆裂ドラミングが混然一体となって押し寄せ、CDでは味わえない凶暴なエネルギーを感じます。本作は「あらゆるバンドによるベストメタルアルバムの一つ」と評価されており、その評価に違わぬ強烈なインパクトを放ち続けています。レコードの針を落とすと同時に鳴り響く疾走リフから、最後のノイズまで息つく暇もありません。アナログならではのレンジの広さが、モーターヘッドの持つラウドさを余すところなく再現し、まるでライヴハウスの最前列で巨大アンプに身体をさらしているかのような錯覚さえ覚えるでしょう。タイトル曲以外にも「(We Are) The Road Crew」など名曲揃いで、いずれもレコードで爆音再生する価値があります。ヘヴィメタルとパンクを掛け合わせたような粗削りのサウンドは、ビニール盤の少し荒い質感と相まって最高のマッチング。ぜひボリューム全開で『エース・オブ・スペーズ』を回し、ロックンロールの狂騒に身を委ねてください。
代表曲: 「Ace Of Spades」(公式MV)

6. アイアン・メイデン『魔力の刻印 (ザ・ナンバー・オブ・ザ・ビースト)』 (1982年)

NWOBHM(ニュー・ウェイブ・オブ・ブリティッシュ・ヘヴィメタル)の代表格アイアン・メイデンが放った世界的大ヒット作『魔力の刻印(原題:The Number Of The Beast)』。ブルース・ディッキンソン加入後初のアルバムであり、メタル史上最も影響力のあるアルバムの一つとして常にトップクラスに挙げられます。デジタル音源でも素晴らしいですが、アナログ盤で聴くとプロデューサーのマーティン・バーチが意図した迫力が最大限に引き出されます。たとえば「Run To The Hills」のツインギターのハーモニーやギャロップするベースラインは、レコードならではの奥行きのあるサウンドステージで広がり、ライブさながらの躍動感を伴って耳に飛び込んできます。表題曲「The Number Of The Beast」の冒頭の語りからサビに至る劇的な展開も、アナログの太い音像で聞くと鳥肌ものです。アイアン・メイデンの曲は中音域が充実しているため、CDでは埋もれがちな繊細なギターメロディやスティーブ・ハリスのベース運指も、レコード再生ではくっきり浮かび上がるのです。実際、このアルバムは「メタル史上最も偉大なアルバムの一つ」として様々なランキングで上位にランクインし続けています。闇夜に響く悪魔の雄叫びを、ぜひアナログ盤の豊かな音で体感してください。曲間の静寂から一転、針が進むにつれて炸裂する音の洪水に、あなたもきっと魅了されるはず。
代表曲: 「Run To The Hills」(公式MV)

7. ディオ『ホーリィ・ダイヴァー』 (1983年)

伝説のヴォーカリスト、ロニー・ジェイムズ・ディオのソロ・デビュー作『ホーリィ・ダイヴァー』は、ヘヴィメタルの聖杯とも称されるモニュメンタルなアルバムです。その影響力と完成度は群を抜いており、40年経った今でもメタルファンに崇拝されています。タイトル曲「Holy Diver」の荘厳なイントロからディオの力強いボーカルが響き渡る瞬間、アナログ盤再生ならではの艶やかなサウンドに心奪われます。ヴィヴィアン・キャンベルのギターはエッジが立ちつつもウォームで、レコードで聴くとチューブアンプの心地よい歪み感がより感じられるでしょう。アップテンポの「Stand Up and Shout」の疾走感、名バラード「Rainbow in the Dark」の印象的なキーボードリフなど、本作の楽曲はどれもメリハリが効いていますが、アナログだとそのダイナミクスがさらに豊かに表現されます。プロデューサーも務めたディオ自身が細部までこだわった音像が、レコードだとグッと前に出てきて生々しい臨場感を生むのです。実際デイヴ・グロール(元ニルヴァーナ~フー・ファイターズ)は「『ホーリィ・ダイヴァー』は史上最高のアルバムの一つだ」と公言していますが、そのような評価に違わぬ永遠の名盤と言えます。針を落として聴く「Holy Diver」の重厚なリフに身を委ねれば、あなたもメタルの魔法にかかること間違いなし。アナログ盤でぜひ“聖なる渡航者”の物語に浸ってください。
代表曲: 「Holy Diver」(公式MV)

8. エクソダス『ボンデッド・バイ・ブラッド』 (1985年)

「スラッシュメタルの究極の暴力教本」とも言われるエクソダスのデビュー作『ボンデッド・バイ・ブラッド』。メタリカやスレイヤーと同時期にBay Areaシーンを駆け抜けた彼らのサウンドは、荒削りながら凄まじい破壊力を持っています。アルバム冒頭のタイトル曲「Bonded by Blood」から猛烈なスピードで突っ走る様は圧巻で、デジタルでは若干耳に刺さる高音域もアナログ盤だと程よく丸められ、しかし迫力は失われずに耳に飛び込んできます。「エクソダスはメタリカほど有名になれなかったが、デビュー作は『Kill ’Em All』に匹敵するほど重要だ」と評価されることもあり、スラッシュ好きには避けて通れない作品です。アナログで聴くとドラマーのトム・ハンティングのスネアの音がとても太く、ギターリフのザクザク感も当時の機材特有のローが強調された音像で迫ってきます。ボーカルのポール・バロフの荒々しいシャウトも、レコード再生ではスタジオの空気感ごと閉じ込めたような生々しさが加わります。本作は発売が遅れたこともあり裏街道の名盤的扱いですが、その影響力は計り知れません。近年ではデラックス再発盤も出ているため、音質の良いアナログ盤でこの一枚を手に入れれば、80年代スラッシュの原点を最高の音で楽しめるでしょう。針を落とせば、当時狂乱したベイエリアの熱気が蘇ります。
代表曲: 「Bonded by Blood」(公式音源)

9. メタリカ『メスター・オブ・パペッツ』 (1986年)

スラッシュ四天王の筆頭メタリカが放った3rdアルバム『マスター・オブ・パペッツ』は、ヘヴィメタル史上最高傑作との呼び声も高い圧倒的名盤です。ローリングストーン誌の読者投票でも「史上最も偉大なヘヴィメタルアルバム」に選ばれており、メタルファンならずとも一度は耳にすべき作品でしょう。デジタルリマスター版も出ていますが、あえてオリジナルのアナログ盤で聴くことで、当時の生々しい音圧とダイナミクスを存分に味わえます。タイトル曲「Master Of Puppets」の8分半に及ぶ構築美は、レコードの太い音で聴くとより壮大さを増し、中間部の静から動への展開では空気が震えるような迫力が感じられます。ラーズ・ウルリッヒのドラムスはアナログならではのアタック感で腹に響き、ジェイムズ・ヘットフィールドの刻むリズムギターは一層ザクザクとした質感で耳を捉えます。本作のアナログ初版はダイナミックレンジが広く、後年のCD版よりも自然な音の奥行きがあるため、ファンの間でもアナログで聴く価値が高いとされています。現に、近年のストリーミング世代にも再評価されるほど普遍的な魅力があり、Netflixドラマで使用されたことで若いファンがレコードを買い求める動きもありました。曲ごとの完成度もさることながら、アルバム全体が一つの作品として流れるように構成されているので、ぜひレコードのA面B面通して浸ってほしい作品です。アナログ盤で聴くメタリカの真髄、その凄まじさを体感してみてください。
代表曲: 「Master of Puppets」(公式リリックビデオ)

10. スレイヤー『レイン・イン・ブラッド』 (1986年)

「音の暴力」とも形容されるスレイヤーの『レイン・イン・ブラッド』は、28分弱という短さながら密度の濃いサウンドで極限まで突き抜けたスラッシュメタルの金字塔です。「史上最高のスラッシュアルバム」との評価も多く、現在でも他の追随を許さない狂気とスピードを誇っています。リック・ルービンによるプロデュースで無駄を削ぎ落した音作りはCDでも鮮烈ですが、アナログ盤で再生するとその凶暴さが更に際立ちます。針を落とした瞬間からラッシュする「Angel of Death」のドラムロールが炸裂し、ジェフ・ハンネマンとケリー・キングのギターが左右から襲いかかる様は圧倒的の一言です。Kerrang!誌の記事では「28分58秒で他を引き離し、文字通り究極のスラッシュアルバムの座に君臨した」と書かれており、その激烈さと完璧さが賞賛されています。アナログ再生ではデイブ・ロンバードのバスドラの踏み込みがより立体的に捉えられ、低音域のどっしり感が増すため、曲全体に一層の重みが加わります。音圧戦争など無縁な時代の録音だけあって、レコードのダイナミクスレンジを存分に使ったミックスは聴き疲れすることなく最後まで駆け抜けます。「Raining Blood」のエンディングの雨音から雷鳴のようなリフが始まる瞬間、レコードならではのゾクッとする空気感が背筋を走るでしょう。極限まで研ぎ澄まされたスラッシュの狂気を、ぜひアナログ盤で体感してください。
代表曲: 「Raining Blood」(公式ライブ映像)

11. クリエイター『プレジャー・トゥ・キル』 (1986年)

ドイツ産スラッシュメタルの雄クリエイターが放った2ndアルバム『プレジャー・トゥ・キル』は、そのあまりの過激さから後のデスメタル勢にも影響を与えた極北のスラッシュ名盤です。切れ味鋭いリフとミレ・ペトロッツァの咆哮はCDでも強烈ですが、アナログ盤では音の刺々しさがほどよくマイルドになりつつ、圧倒的な迫力はそのままダイレクトに迫ってきます。本作はしばしば「スラッシュメタル古典の金字塔」とされ、カンニバル・コープス等のデスメタルバンドも影響源に挙げるほど。当時のノイジーな録音が逆に功を奏し、アナログ再生ではヘヴィで荒々しいサウンドに独特の深みが加わります。例えばタイトル曲「Pleasure to Kill」では、終始ブラスト寸前の高速ビートが展開しますが、レコードで聴くとドラムの残響やギターのフィードバック音まで臨場感たっぷりに耳に届き、スタジオで一発録りしたような生々しさが伝わります。曲間のわずかな静寂もアナログだと余韻をもって感じられ、アルバム全体のダークな雰囲気を増幅します。音質面では、Noise Recordsのオリジナル盤は中低域が分厚く、ミレの声も太く聴こえるため、デジタル版よりも腰の据わった迫力が楽しめるでしょう。アナログ盤をセットしボリュームを上げれば、1986年エッセンの地下室で鳴り響いた狂気の音が蘇ります。極端に暴虐なスラッシュを体感するには、やはりレコードが一番です。
代表曲: 「Pleasure to Kill」(公式音源)

12. アンスラックス『アモング・ザ・リヴィング』 (1987年)

ニューヨーク出身のアンスラックスが放った3rdアルバム『アモング・ザ・リヴィング』は、東海岸スラッシュの代表作であり、史上最高のスラッシュメタルアルバムの一つとして広く認知されています。スコット・イアンのザクザクと切れ込むリフ、チャーリー・ベナンテの緻密かつパワフルなドラミング、そしてジョーイ・ベラドナの伸びやかなハイトーン――これらが一体となったサウンドは実に痛快です。デジタルリマスター版ではクリアになりすぎたと感じる向きもありますが、オリジナルのアナログ盤ならではの荒々しい勢いがこの作品にはマッチします。代表曲「Indians」の掛け声“Wardance!”では、レコード再生時の方が観客と一緒に叫んでいるような臨場感が出て、思わず拳を突き上げたくなるでしょう。プロデューサーのエディ・クラマーが手掛けた音作りは当時としてはかなり洗練されており、スラッシュでありながら各楽器の分離も良好です。それゆえアナログの温かみが加わることで絶妙なバランスとなり、激しさの中にも聴き疲れしないコクが感じられます。実際、本作収録の「Caught in a Mosh」や「I Am The Law」はライブの定番で、レコードで聴いてもライヴさながらの熱気が伝わってきます。アンスラックスならではのユーモアやキャッチーさも含めて楽しむには、A面B面に分けて腰を据えて聴けるアナログ盤が最適です。スラッシュメタルの多彩さと楽しさを教えてくれる一枚を、ぜひレコードで堪能してください。
代表曲: 「Indians」(公式MV)

13. テスタメント『ザ・レガシー』 (1987年)

“もしBig4が5つ目まであったなら”と言われるほど評価の高いテスタメント。その記念すべきデビュー作『ザ・レガシー』は、発表当時から「スラッシュの隠れた名作」として熱狂的支持を集めました。音楽誌メタルハマーでも「この1987年のデビューアルバムは今なおスラッシュの古典だ」と評されており、まさにタイトル通り後世に“遺産”を残した作品です。アレックス・スコルニックの超絶リードギターとチャック・ビリーのパワフルな咆哮が炸裂するサウンドは、アナログ盤で聴くとさらに重量感を帯びます。例えばオープニング曲「Over The Wall」のイントロのリフからソロに至る展開では、レコード再生時の方がギターの泣きやサスティンが豊かに感じられ、曲に込められた情熱がダイレクトに胸に響きます。80年代後期らしいややリバーブ感のあるスネアドラムも、アナログだと程よく締まりつつ空間の広がりを感じさせ、全体の音像に立体感を与えます。当時メタリカ級の成功も期待された実力派だけに、楽曲の完成度は非常に高く、レコードを通して聴くとアルバム全体の流れがより自然に耳に入ってきます。続くアルバムではサウンドがモダン化していきますが、この『ザ・レガシー』はスラッシュ黄金期のエッセンスが凝縮されており、アナログ盤で聴けばそのエネルギーを余すところなく浴びることができるでしょう。幻のBig5と呼ばれる所以、その真価を是非レコードで確認してください。
代表曲: 「Over The Wall」(公式Visualizer)

14. ガンズ・アンド・ローゼズ『アペタイト・フォー・デストラクション』 (1987年)

80年代後半、ハードロックシーンに革命を起こしたガンズ・アンド・ローゼズのデビュー作『アペタイト・フォー・デストラクション』。全世界で3000万枚以上を売り上げ、史上最も成功したデビューアルバムとしてギネス級の存在です。それだけ耳馴染みのある本作ですが、アナログレコードで聴くと改めてその完成度と迫力に驚かされます。1曲目「Welcome To The Jungle」のイントロの咆哮からドラムが入る瞬間、レコードならではの太い音圧がガツンと迫り、まさに“ジャングル”に迷い込んだような生々しさを感じます。スラッシュ系の作品に比べ音の余韻や隙間も多い録音だけに、アナログの広がりあるレンジが活きて、ダフ・マッケイガンのベースラインのグルーヴやスラッシュ(スティーヴン・アドラー)のスネアの抜けが気持ちよく響きます。また、アクセル・ローズのヴォーカルはアナログで聴くと一層艶と狂気が増し、「Sweet Child o’ Mine」の高音シャウトも耳に刺さらず豊かに広がります。アルバム全体を通して感じるストリートの荒々しさや泥臭さは、デジタルの整然とした音よりもアナログのラフな質感の方がしっくりきます。ジャケットのアートワークもLPサイズで眺めがいがあり、レコード所有欲を満たしてくれるでしょう。ガンズの破滅的エネルギーと卓越した音楽性を兼ね備えたこの名盤、ぜひアナログ盤で針を落とし、80年代LAメタルシーンの熱狂を体感してください。
代表曲: 「Welcome To The Jungle」(公式MV)

15. セパルトゥラ『ビニース・ザ・リメインズ』 (1989年)

ブラジルの誇るセパルトゥラが世界に衝撃を与えた3rdアルバム『ビニース・ザ・リメインズ』。南米ならではの荒涼としたヘヴィネスと、当時台頭していたデス/スラッシュの要素が融合した本作は、スラッシュメタル屈指の名作として名高く、多くのファンから「決して忘れてはならないスラッシュの古典」だと賞賛されています。名プロデューサーのスコット・バーンズが手掛けたこともあり、音質的にも非常に優れていて、アナログ盤で聴くとその良さが最大限に活きます。代表曲「Inner Self」のイントロ、ミドルテンポの重いリフに乗せてマックス・カヴァレラが吠える瞬間、レコード再生では背筋にずしりと響く重低音とともに、南米の土着的な熱気までもが感じられるかのようです。イゴール・カヴァレラのドラミングはパワフルかつ手数が多いですが、アナログでは各ドラムの残響までしっかり捉えられ、曲全体に広がりが生まれます。デジタルよりも音が柔らかくなる分、ギターのリフが分厚く塊となって押し寄せ、結果として暴力性が増すのも興味深いポイントです。当時まだ若きセパルトゥラが放った怒りや焦燥感が、ビニール盤の溝に刻まれた微細な振動となって蘇り、聴き手の感情を揺さぶります。「Beneath The Remains(遺骸の下に)」というタイトル通りの陰鬱さと攻撃性を孕んだ本作、アナログ盤という形で永遠に残すべきスラッシュの遺産だと言えます。ぜひレコードで針を落とし、その強烈なサウンドに没頭してみてください。
代表曲: 「Inner Self」(公式MV)

16. メガデス『ラス・イン・ピース』 (1990年)

メタリカと並ぶスラッシュ四天王、メガデスの最高傑作との呼び声高い4thアルバム『ラス・イン・ピース』。デイヴ・ムステイン率いる新編成(マーティ・フリードマンとニック・メンザ加入)で制作され、「史上最も偉大なスラッシュメタル・アルバムの一つ」と評価されています。そのテクニカルで攻撃的なサウンドはCDでも鮮烈ですが、アナログ盤では音の角が取れつつ重厚さが増し、腰にくる迫力が段違いです。例えば冒頭の「Holy Wars… The Punishment Due」のリフは、CDだとシャープで硬質な印象ですが、レコード再生では骨太な低音が下支えし、ライブさながらの迫力となって飛び出してきます。ムステインとフリードマンのツインリードが高速ユニゾンを繰り広げる様も、アナログの方が耳あたりがよく、長時間聴いても疲れません。プロダクション面ではマイク・クリンクの丁寧なミキシングにより楽器の分離が良いですが、レコードで聴くとそれぞれの音像が立体的になり、特にベースのデイヴィッド・エレフソンの巧みなプレイが埋もれず浮き出て聞こえるのも魅力です。ファンからはしばしば「メタル史上最高峰のアルバム」とまで言われる本作は、曲順や構成も完璧であるため、ぜひレコードのA面B面を通して一気に聴きたいところです。アナログ盤で『Rust In Peace』を体験すれば、その圧倒的完成度とサウンドの洪水に改めて感嘆するでしょう。名曲ぞろいのこのアルバム、レコードで聴く感動はひとしおです。
代表曲: 「Holy Wars… The Punishment Due」(公式MV)

17. ジューダス・プリースト『ペインキラー』 (1990年)

1990年に放たれたジューダス・プリーストの『ペインキラー』は、ヘヴィメタルというジャンルを極限まで高めた究極の金属サウンドです。高速二連バスとツインリード、ロブ・ハルフォードの超高音スクリームという三位一体攻撃は、当時のメタルシーンに衝撃を与えました。「史上最高のヘヴィメタル・レコード」との声もあるほどで、30年以上経った今なお色褪せない名盤です。CDではキンキンしがちな高音域も、アナログ盤なら角が取れて耳に心地よいレベルで響きます。タイトル曲「Painkiller」のドラムイントロはレコード再生時の方が腹に響く重低音が増し、ギターソロの応酬も空気感を伴って広がり、まさに耳が痛快とはこのこと。80年代から活動していた彼らですが、本作ではスピード感が格段に増しており、それでいて音が破綻しないのはプロデューサーのクリス・タンガリーディスの腕前でしょう。アナログで聴くと、スコット・トラヴィスのドラムスの一音一音が太く存在感を放ち、全体をぐいぐい牽引しているのが感じ取れます。2曲目以降も「Hell Patrol」「All Guns Blazing」など名曲揃いで、レコードのB面にあたる後半でも勢いが全く衰えません。音質的な魅力もさることながら、ジャケットアートを大判で楽しめるのもレコードの醍醐味。メタルゴッド=ロブのイメージそのもののメカニカルな天使ライダーが描かれたカバーは一見の価値ありです。ヘヴィメタルの美学と過激さを究めた『ペインキラー』、その真価はアナログ盤再生でこそ体感できるでしょう。
代表曲: 「Painkiller」(公式MV)

18. パンテラ『俗悪 (ヴァルガー・ディスプレイ・オブ・パワー)』 (1992年)

90年代メタルを語る上で欠かせないパンテラの『俗悪』(原題: Vulgar Display Of Power)。スラッシュメタルの狂暴性を引き継ぎつつ、よりグルーヴィーでヘヴィな「グルーヴメタル」を築いた本作は、1990年代でも最も影響力のあるメタルアルバムの一つとされています。実際、ローリングストーン誌の選ぶオールタイム・メタルアルバム100で第10位にランクインするほど評価が高いです。そんな本作をアナログ盤で聴くと、ダイムバッグ・ダレルのギターリフが持つ極太のグルーヴがさらに増幅され、ヴィニー・ポールのドラムスの一撃一撃もより深く沈み込むように感じられます。名曲「Walk」のダウンチューニングされたリフの重みは、レコード再生でこそ真価を発揮し、フィル・アンセルモの猛々しいボーカルもアナログならではの暖かみある中低音で支えられて耳に突き刺さります。CDではややドンシャリ気味(低音と高音が強調され中音域が引っ込む傾向)なミックスですが、アナログでは中音域が厚く感じられるため、全体に骨太なサウンドに聴こえるのです。楽曲のメリハリも見事で、「Mouth for War」の攻撃的なパートとグルーヴィーなブレイクダウンの対比、「This Love」のバラードから一転する激重リフなど、アナログ盤だとそのコントラストがより鮮明に迫ります。90年代当時、オルタナやグランジが台頭する中でメタルの砦を守り抜いたパンテラ。そのエネルギーの塊を、ぜひレコードの溝から感じ取ってください。
代表曲: 「Walk」(公式MV)

19. マシーン・ヘッド『ザ・ブラックニング』 (2007年)

2000年代以降において、「モダン・ヘヴィネスの金字塔」と称えられるのがマシーン・ヘッドの6thアルバム『ザ・ブラックニング』です。「2000年代で最高のメタルアルバム」と頻繁に言及されるほど評価が高く、古参ファンから若手リスナーまで唸らせました。デジタル全盛の時代の作品ですが、実はアナログ盤で聴く価値が極めて高い一枚です。というのも、プロダクションが非常に緻密でダイナミックレンジが広く、レコードのフォーマットがそのダイナミズムをしっかり受け止めるからです。10分近い大曲「Halo」は、序盤のクリーントーンギターから徐々に盛り上がっていく構成ですが、アナログ盤再生では音のレイヤーが豊かに分離しつつも包み込むように広がり、クライマックスでは圧倒的な壁音となって迫ります。ロブ・フリンの力強いボーカルもアナログだと荒々しさと温かみが程よくブレンドされ、「Beautiful Mourning」等で聴けるシャウトにも思わず拳を握る熱気が宿ります。本作は発売当時、各メタル誌で満点評価が相次ぎ、「2000年代のメタルを代表する傑作」との声が多く挙がりました。アナログ盤で聴くと、CDでは感じにくい低音域のうねりや空気感がより明瞭に伝わり、バンドの持つグルーヴに体が自然と乗ってしまいます。長尺曲が多いアルバムですが、A面B面に分けて腰を据えて聴くことで、それぞれの曲が持つ物語性をじっくり堪能できるのもレコードの利点です。新世代の名盤『ザ・ブラックニング』、アナログという形でその凄みを体感してみてください。
代表曲: 「Halo」(公式MV)

20. メタリカ『デス・マグネティック』 (2008年)

最後に紹介するのは現代におけるアナログ盤の意義を象徴する一枚、メタリカの『デス・マグネティック』です。80年代のスラッシュ路線に回帰した楽曲群でファンを歓喜させましたが、実はCD版は音圧競争の煽りで音がひずみ気味になっていたことが物議を醸しました。しかし、アナログ盤ではその問題が大幅に緩和され、音がより生き生きと蘇るのです。実際、「『デス・マグネティック』のLPはCDよりもダイナミックでスペースがあり、エキサイティングに聞こえる」との報告もあるほどで、ファンの間でも「レコード版は聴きやすい」と評判でした。曲自体のクオリティも高く、「All Nightmare Long」や「The Day That Never Comes」といった名曲が揃っています。アナログ盤で聴けば、圧縮のきつかったCDでは埋もれていたニュアンスが浮かび上がり、ジェイムズ・ヘットフィールドのリズムギターはより分厚く、ラーズのドラムは芯のある音で響きます。特に「That Was Just Your Life」のイントロの心音のようなSEから轟音リフに入るところでは、レコード再生の方が空間の静けさと轟音の対比がはっきり感じられ、鳥肌ものです。ラウドネス・ウォー(音圧競争)の時代に一石を投じた存在としても語られる本作は、アナログとデジタルの違いを知る上でも最適な教材となりました。最新リマスター版も出ましたが、敢えて当時のアナログ盤に針を落とし、その音の違いとメタリカの底力を確かめてみてはいかがでしょうか。レコードが再び注目されるきっかけにもなったこのアルバム、現代の名盤をアナログで楽しむ醍醐味を教えてくれる一枚です。
代表曲: 「All Nightmare Long」(公式MV)

締めくくり: 以上、20枚の名盤を駆け足で紹介しましたが、いずれもアナログレコードで聴くことで新たな発見と感動が得られる作品ばかりです。暖かな音の質感、ジャケットを手に取る喜び、曲順に身を任せてアルバム全体に浸る体験――それらはデジタルでは代え難いアナログならではの魅力です。ロック/メタル中・上級者の皆さんなら、このリストの中に思い入れのあるアルバムがきっとあるはず。ぜひレコードプレーヤーに載せてもう一度向き合ってみてください。当時感じた興奮が蘇ると同時に、新たな音の表情に驚くことでしょう。ヘヴィメタルをアナログで聴くべき理由はズバリ「魂が震えるから」です。さあ、針を落として音量を上げましょう。レコードの溝から迸る熱気と重厚なサウンドが、あなたをあの頃の熱いステージへと連れ戻してくれるに違いありません。いつまでも色褪せない名盤たちをアナログレコードで味わい尽くし、改めてその魅力を再確認してください。メタル魂は永久に不滅です。Enjoy Your Vinyl Metal Journey!

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